2015年6月2日火曜日

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』という本を読みました。元は英語で書かれた本の翻訳書です。


「ジョン万次郎」という人のことは、大抵聞いたことがありますよね。鎖国の時代に海を渡り、アメリカに来たという人。

実は去年、ジョン万次郎が住んでいたマサチューセッツ州フェアヘーブンで万次郎ツアーなるものに参加しましたので、いっそう興味深く読めました。

万次郎は14歳の時に漁に出ていて嵐に遭い、仲間数人とともに無人島に漂着します。食べ物も満足になく困っていたところ、偶然やってきたアメリカの捕鯨船に助けられ、ハワイへ。仲間の漁師たちはハワイに留まりますが、好奇心旺盛だった万次郎はアメリカ本土に渡ることを決意。船で目をかけてくれた船長の養子になり、日本人としてアメリカで初めて学校教育を受けます。英語はもちろん、最新の航海術なども身に着けた万次郎は日本に帰り、元々平民ながら武士の位をもらい、将軍の相談役や通訳などを務めました。

(万次郎が最初に通った学校。英語があまりできなかったので、小さい子たちに混じって小学校に通いました。)

今の日本ではアメリカの映画やTV番組も見られるし、インターネットもあって情報豊富です。私はアメリカ人の夫と結婚していて、日本に住んでいるときも毎年こちらに遊びに来ていたのでいろいろわかっているつもりでしたが、それでもやっぱりカルチャーショックはありました。(プリスクールで子どもたちが靴履いたままお昼寝しているのを見たときとか。笑)

それなのに鎖国の時代にいきなりアメリカに来て生活するとは、万次郎にとって驚きの連続だったと思います。洋服着るとかパン食べるとかいうことだけでも初めてだし、アメリカの家も当時の日本の家とは全然違いますからビックリしますね。

(万次郎が勉強を習っていた塾のようなところ。こちらでは古い家を改装して長く使うので、今も現役。Rentのサインがあります。)

仕事だったのであまり写真が撮れなかったのですが、万次郎が一時暮らした船長の家も改修されてミュージアムになっていて(→)、とても興味深かったです。(日野原重明先生が発起人になって資金を集められ、毎年いらっしゃるそうです。)電気がなくて鯨油ランプだったり、キッチンもかまど式だったりしますが、基本的には今のニューイングランド地方の典型的な家とあまり変わらず、こんなところにいきなり来てベッドに寝るだけでもビックリだろうなと思いました。

そういうことを考えると、万次郎の適応力の高さにますます感心します。そして、彼のすごいところはアメリカに溶け込んでそのまま住み着くのではなく、自分が日本人であることを忘れず、大変苦労して祖国に帰り(鎖国の時代に外国に行くのは大罪ですから命の保証もなかった)、のちに祖国に貢献したことです。

フェアヘーブン(Fairhaven)はボストン市内から車で一時間くらいのところにある小さな海辺の町です。とてものどかなところで、可愛らしいおうちも多く、元ルーズベルト大統領の祖父母の家だったB&Bもあります。まだ行ったことのないPとうたこと一緒にゆっくり再訪してみたい町です。

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